南風原(はえばる)花織は、沖縄本島南部、那覇の南に位置する南風原町で
織られています。
沖縄では読谷村、知花、首里など各地で花織が生産されており、
それぞれ特徴があり素晴らしいものばかりです。
南風原花織は、琉球藍やフクギなどの地元で採れる植物の染料で糸を染め、
織り込んでいきます。
刺繍のように立体的に浮き柄に織り上げるのが特徴で、
南国の花々を想わせる華やかで可愛い織物です。
その歴史は古く、琉球王朝の時代から祝い着として発展し、
その技法は母から娘へと受け継がれ現代に至っているとのことです。
淳彩庵には現在3反の南風原花織があります。
地色はピンク、黄、紺の3色で小花の浮き柄文様です。
南国の温暖な気候が生んだ柔らかくやさしい風合い、
可憐な花々を想わせる立体感のある柄。
是非、一度触れてみてください。
~ 着物の里 散策 ~
南風原町は、那覇のすぐお隣、南部への観光の途中にあります。
沖縄の中でも織物の盛んな町で、「琉球絣」の多くはここで織られているとのことです。
町には「かすりの道」という散策路があり、街中に立ち並ぶ工房から
「シャーラトントン」と織機の音が響き、いたるところで反物が広げています。
「琉球かすり会館」も寄ってみてください。
~ 一言 ~
沖縄のイメージは、風光明媚、マリンレジャー、美味しい郷土料理、
明るく活気のある人たちなどですが…
太平洋戦争の沖縄戦で、民間人の子供からお年寄りまでも死闘を繰り広げた
激戦の地であったことを忘れてはいけません。
今なお、各地に残骸が残り、人々の心の奥にも深い傷跡を残しているのです。
そんな戦禍のなか、人々は日本軍の残した破れ欠けた地図を、
型紙の代わりに弾丸の破片を織機の補修に使いながら伝えたとのことです。
沖縄のきものにはこんな思いも込められているのです。
きもの淳彩庵ホームページ